ブックタイトルNHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー
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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。
4けれどチーコが保育園に通い始めて一か月が過ぎようとした頃、ちょっとした問題が起こった。お迎えに行った時、そこに居合わせた保育士さんが全員やってきて、口々に謝ってきたのだ。「お父さん、すみません。決して目を離していたわけじゃないんですけど、あっという間のことで、止められませんでした」「え……いったい、何があったんですか?」胸がドキドキするのを感じながら尋ねると、保育士さんが抱いていたチーコのシャツの袖をめくって見せた。「一緒に遊んでいた子供に、?まれちゃったんです」チーコの白くてポチャポチャした二の腕には、小さな歯型がクッキリとついていた。うっすらと血が滲んでいるところもある。「あらら……ずいぶん強く?まれたみたいですね」「やっぱり、子供は加減できませんから」「そうですよねぇ」トモローは努めて平静に、なおかつ穏やかな口調で言ったが、内心は舌打ちの一つもしたい気持ちだった。自分が近くにいたら、絶対にこんな目には合わせないのに。「別に怒ってるわけじゃありませんけど、?んだのは誰なんです?」