2011年10月刊行『
人生と仕事を変えた57の言葉』に次ぐ、「プロフェッショナル仕事の流儀」と連動した新書の第二弾です。
前著では恩師の言葉や本の一節など、50人のプロフェッショナルたちが「出会った」言葉を紹介しました。対して本書では、プロフェッショナル33人が一つの道を究めるうえで指針としている言葉を集めてみました。信念や口ぐせ、思わず発した本質的な一言など、彼らの生き方を大きく変えた言葉を紹介し、その背景を、インタビューをもとに再構成しています。
たとえば、パン職人・成瀬正さんの座右の銘は「常に、不満足であれ」。この言葉を胸に刻み、技を磨いた結果、彼は世界の一流シェフが注目する傑出した存在になりました。石工の左野勝司さんが仕事で不遇だったとき、指針としたのは「10分〝今日〟を反省し、5分〝明日〟を夢見ろ」。麹ブームが起きたとき、麹屋女将の浅利妙峰さんが自分に言い聞かせた言葉「一人勝ちに、未来はない」。
プロサッカー選手・本田圭佑さんが口にした何気ない一言「信じることっていうのは、僕にとって希望なんですね」。一見、平凡ですが、本田さんの苦闘の道のりと絡めて味わうと千鈞の重みを持つ言葉と言えるでしょう。映画俳優・高倉健さんが胸に刻むのは、「生き方が、芝居に出る」。この簡潔な一言に、高倉さんはどのような思いを込めているのでしょうか。
そのほか、てんぷら職人から数寄屋大工までの職人、駅弁販売からカキ養殖者までの多彩な職業人、料理家・栗原はるみさんからプロサッカー監督・岡田武史さんまでの有名人……プロフェッショナルたちが道を究めるうえで胸に刻んだ言葉は、いわゆる「金言」ではなくとも、文脈を離れた力強い普遍性を持ちます。仕事で挫折し、人生の指針を見失った人たちに向けて、言葉の持つ奇跡のパワーを、背景に隠されたドラマを浮き上がらせつつ紹介していきます。
興味をひかれた言葉や、関心のあるプロフェッショナルのページから、気軽に目を通してみてください。あなたの〝運命〟を変える言葉が、きっと見つかるはずです。
(NHK出版 大場旦)