実際の撮影現場でも、武田鉄矢さんは、愛情と情熱を持ってハッキリと物事を伝える方ですし、森下愛子さんは独特のテンポでゆっくり話されるんですよ。本当に父・善行と母・晴海(はるみ)が会話しているみたいなんです。
宮古島の祖父(おじい)の「ホテル・サザンアイランド」は、純にとって「魔法の国」だという設定ですが、実はおじいの存在そのものが特別なんだと思います。純は3人きょうだいの真ん中だから、親からの愛情もどこかもの足りなくて、学校でも友達の中で浮いています。そんな自分を特別かわいがってくれて、「そのままでいいんだよ」と言ってくれるおじいが、純は大好き。おじいは、「ここにいたい!」と思える温かい場所を初めて純に与えてくれただけでなく、周りの人みんなを笑顔にしていく。誰かを笑顔にしたいと願いながら、いつも空回りしてしまう純にとって、おじいのホテルはまさに魔法の空間に思えたんでしょうね。
愛君のことは、台本を読んでびっくりしました。実際にこんな人がいたら、きっと驚くと思います(笑)。私自身は、誰かを支えたり、責任を負ったりした経験がないので、繊細な愛と寄り添って生きていくことについては、まだ想像がつきません。でも、純にしたら「そのままでいてください」という特別な言葉を愛に言われたことで、おじいの姿と重なったでしょうし、くじけたときにいつも必ず現れて励ましてくれる愛に、運命を感じたと思うんです。ふたりの関係をたとえていうなら、「雨」と「花」。いつも水を与えてくれる愛がいてくれるから、純は思いきり咲くことができるんじゃないでしょうか。
このドラマには喜怒哀楽すべての感情が詰まっていて、生きている! というリアリティーにあふれています。朝ドラとしては特別にスピード感がありますし、人の心が深く掘り下げられていて濃厚です。宮古島の美しさも、もちろん見どころですが、「そういう人、いるいる!」という人間模様も楽しんでいただけたらと思います。
8か月間の撮影は、全力疾走のマラソンみたいなものだろうと思っています。どんなふうに成長していけるのか、自分でも楽しみながら、毎回、全力疾走で頑張ります!