3月22日に放送され注目を集めたNHKスペシャル「超常現象 科学者たちの挑戦」。番組の制作統括を務めた大里智之さんと、作家の恩田陸さんによる好評の特別対談の後編をお伝えいたします。今回は古代文明の謎についてから話が始まります。
謎多き、古代文明
——「超常現象」の続編はあるのでしょうか。
大里 いまはちょっと分からないですね。でも、オーパーツとかは興味ありますね。
※オーパーツ…発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる、遺跡などからの出土品。
恩田 私もまだ謎が解明されていない、古代の文明が気になるかな。マヤ文明や、インカ帝国のカミソリも通さないほど精緻に作られた遺跡とか。
大里 もともと恩田さんとは、私がNHKスペシャル「失われた文明 インカ・マヤ」を作ったときに知り合ったんですよね。番組制作がスタートしたあと、知人から、恩田さんがマヤについての小説を書いていると聞いたんです。それが、『上と外』という小説でした。なんとも言えない、中南米の雰囲気を見事に表現なさっていました。それで、NHKスペシャルの書籍を一緒に作ろうということになり、声をかけたんです。現地取材で、メキシコ・グァテマラ・ペルーの3か国を一緒に取材しました。行く先々でコーディネーターさんについてもらって。私もインカ・マヤ文明は、今でも不思議です。
恩田 古代文明は本当に今でも解明されていない謎も多いですよね。エジプトのピラミッドもどうやって作ったのか分からないわけじゃないですか。
大里 いわゆる「世界7不思議」って、ギザの大ピラミッド以外、残されていないんですよね。バビロンの空中庭園なんて、現時点で存在しないから、嘘だと思っている人も多いでしょう? ピラミッドも、もし今存在しなくて、お話としてしか伝えられていなかったら、みんなきっと嘘だと考えると思いますよ。古代の人の空想だと思うはず。でも実際にあるからなあ。
恩田 建造物で言うと、出雲大社の神殿も不思議ですよね。昔は、全然違う方向性の考え方があったんだろうなと思うんですよ。神社って鳥居の形もすごく不思議じゃないですか。機能としては、門なんだろうけど、なぜあんな形なのか。
文明って連続していないように思うんですよね。断続しているし、全然違う文明があってもおかしくないんじゃないかとは思います。奈良や京都の神社仏閣を訪ねても、「なんだこの変なものは! この造形はどういう発想で作られたのか、さっぱり分からない!」と感じるものも多いです。人類だってまっすぐ進化してきたわけじゃないと思いますよ。
大里 エジプトの文字とかね。あの複雑な文法体系がいきなり歴史上に出現しているんですよね。あれも不思議です。古代文明が人々の関心を惹きつけてやまないのは、謎を明らかにしたいっていう探究心をくすぐるからですよね。