ヒロインに決まったときは、まったく想像していなかったので、「エ〜ッ!!」とただただ驚きました。審査のときに演じた希のセリフの中に心を動かされたものがあったので、ぜひ役をいただいてドラマの中で演じたいと思っていました。
希は真面目で不器用ですが、とても愛情深い女の子。原作もモデルもないので、脚本家の篠﨑絵里子さんが書いてくださるセリフに希の心の鍵があると思いながら、台本を読み込んで、役を生きることを大事にして演じています。ドラマが若者たちの青春を描くものなので、大学への通学電車に乗っている時間や、友達と一緒にいる時間など、私自身の日常も大切にしながら過ごしています。
ロケ先の能登でのクランクインは、「やっときた!」という思いでした。私は気持ちがなかなか落ち着かなくて、希のスピードと自分のスピードの両方で自転車をこいでいるような気持ちでした。明るい太陽の陽射し、土地の香り、穏やかな風、自然豊かな景色などを体感していくうちに、希がこの土地に根ざして暮らしていこうと思った気持ちがだんだんわかっていき、ロケの終わりには、私自身、能登と離れがたくなりました。
撮影の合間には、地元の方たちと一緒に足湯に浸かっておしゃべりを楽しんだり、同級生役の皆とバスに乗って出かけ、美しい星空の下で光る千枚田を見たりもしました。特に思い出深いのは、輪島のお祭りです。私と同世代の方たちがかっこよく太鼓を打ち鳴らすのを見て、感動で涙が止まらなくなるほどでした。私もしっかりと腕を上げて腰を入れる叩き方を教わり、シーンに加わりました。地元の方々とキャストとの一体感によって作られたシーンをお見せできるのではと、とても期待しています。