TOPICS Interview マリーア・ドゥエニャス 海外ドラマ「情熱のシーラ」 原作者

写真 マリーア・ドゥエニャス
last updated Jun.16,2015.

6月7日からNHK総合テレビで放送がはじまったスペインドラマ「情熱のシーラ」。原作小説は全世界で400万部超の売上を誇り、ドラマはスペインで平均視聴率25.5%と大ヒットしました。今回は日本でのドラマスタートと関連書籍の刊行を記念して、原作者のマリーア・ドゥエニャスさんに作品に込めた想いについて特別に語っていただきました。

番組情報
スペインドラマ「情熱のシーラ」
NHK総合 毎週日曜午後11時
2015年6月7日放送スタート(全17回)
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sira/

写真 ———この作品で、主人公シーラとその人生を通してどんな価値観を表現したいと考えたのでしょうか?

私が意図したのは、ひとりの貧しく、傷つきやすく、未熟な女の子が、人間的成熟の過程を経て、強く勇敢で、自分を信じ、自身の手で運命を切り拓いていく女性になるまでを描くことでした。そうなるまでの彼女を支えたものは、勇気と度胸、義務感、責任感といった人間としての価値観です。


———本作の時代背景としてスペイン内戦と第二次世界大戦を選んだのはなぜですか?

私はスペイン内戦をいつもと違う視点から見てみたいと思っていました。スペインには、内戦を内側から掘り下げた文学作品が数多くありますが、私はそれとは別に、関与していた外国人や、かたずをのんで紛争の変転を見守っていたヨーロッパ列強側の視点を選びました。内戦が1939年に終結すると、スペインはヒトラーを強く支持していたにもかかわらず、大戦に参加するには至りませんでした。貧しく、完全な壊滅状態にあったスペインには、提供できるものが何もなかったからです。しかしこの国が地中海の入り口であり、当時の両陣営にとっては是が非でも手に入れたい土地だったことから、多数の諜報活動が繰り広げられたのです。


写真 ———実在した人物と想像上のキャラクターを織り交ぜながら物語を書くのは大変でしたか?

想像上のキャラクターと歴史上の人物を組み合わせるのは難しくはありませんでしたし、実在した人物を描くことで、実際に大いに助けられました。というのも、彼らの歩みや行動が小説の骨格となり、筋立ての大いなる支柱となったからです。


———スペインだけでなく、モロッコとポルトガルを物語に組み込んだのはなぜでしょうか?

モロッコはすべての原点で、この小説の根源です。1912年から1956年までモロッコの一部はスペインの保護領で、半植民地的な立場にありました。当時モロッコに住んでいた何万人ものスペイン人の中には、私自身の家族も含まれています。私の母は、スペイン領モロッコの首都テトゥアンで1940年に生まれました。かの地で起きた出来事が、彼女の幼少期と青春時代の思い出のすべてなんです。私は母の記憶や、その永遠のノスタルジーを聞きながら成長したため、この物語の構想を立てるときに第一義としたのが、あの世界を再現することでした。

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