主人公はドレスメーカーで、その職業が物語の展開の鍵となっています。タイトルではそのことと、シーラが一見何の害もない、縫い物という労働に従事している間にすべてが起こったというアイディアを組み合わせました。
テレビの脚色には非常に満足しています。技術的にも芸術的にも大変な作業だったと思いますが、それでもなお、終始、原作の本質、その真髄を尊重していただきました。テレビシリーズの視聴者は、小説とはまた違った新しい何かを発見できると思いますが、その一方であらゆる筋立て、登場人物、シーンが、原作をほうふつとさせるだろうと確信しています。
ひとつはシーラの人物像です。その純真さ、傷つきやすさ、度胸、向上心、困難に直面したときの勇気……。もうひとつは歴史的経緯と地理的座標、モロッコのエキゾチシズム、戦争時の人間の葛藤などが挙げられます。
私の想像の中から飛び出した感情と冒険を、日本の読者の皆様、視聴者の皆様に楽しんでいただけると知って、とてつもなく名誉に感じています。どうか、世界中の何百万ものファンの方々と同様に、本とドラマを楽しんでくださることを願っています。