TOPICS 波瑠×玉木 宏 連続テレビ小説「あさが来た」対談

写真 波瑠×玉木 宏
last updated Feb.1,2016.

ふたりのデコボコ加減がちょうどいい

激動の時代をさっそうと生きた女性実業家・白岡あさと、その活躍を支えた夫の新次郎。深い絆で結ばれた夫婦を演じる波瑠さんと玉木宏さんに、役への思いや収録時のエピソードなどを語っていただいた。

写真1 波瑠 新次郎とあさは全然似てなくてデコボコ夫婦なんて言われるけど、とても仲よしなところがかわいくて。ちょうどいいデコボコ加減で、お互いに足りない部分を補い合っている夫婦だと思います。
玉木 あさは新次郎のどんなところを補っているのかな。
波瑠 切り開いていく力とふんばりがないところ。旦那様はふんばれないですよね(笑)。
玉木 ふんばれないねえ(笑)。
波瑠 旦那様のほうは、あさが行動するときのエネルギーを出力調整してくれてますよね。ほかにはどんなことを補ってくれてますか?
玉木 うーん、家のこと(笑)? 「千代のことは任せとき」っていうセリフもあったしね。よそのお母さんがするようなことであさができないところを、新次郎が調整しているんだろうね。
波瑠 飄々として何もやってないように見えるけど、陰ではあさのために、自分なりに行動を起こしていたりするでしょ。そんなところがすてきです。
玉木 新次郎は自分が本当に考えていることをあえて見せないけど、理解力が鋭くて空気が読める人だと思う。子ども時代に抱えたトラウマがあって、だからこそ人の痛みがわかるし優しくできる。あさの弱い部分もわかっていて、メンタル面ではここぞというときにケアできる人ですね。
波瑠 あさも新次郎をありのまま受け入れていて、道楽はしてもあさに対しては誠実で、まっすぐ自分を見てくれていることを知っている。きちんと信頼関係ができているふたりなんです。
玉木 「10人お母ちゃんがいたら10通りのお母ちゃんがいるのや」と娘の千代に言うセリフがあったけど、一概にどんな夫婦がいいとは言えない。お互いに思いやりがあって補い合う関係を作ることができれば、それがいい夫婦なんだと思います。
波瑠 幸せの形って決まってないですもんね。あさのように仕事に打ち込む奥さんでも、家のことがいちばんの奥さんでも、夫婦ふたりが一緒にいて居心地よくて、共通の思いがあれば、それが理想じゃないかな。

少し頼りない旦那様に
上手に〝ホイホイ〟されて

波瑠 新次郎さんを見ていると「優しい」と「頼りない」は紙一重なのかなと思うときはありますね。あさは商人として、時には敵を作らずにはやっていけない世界に身を置いていて、厳しい判断を下すこともある。それを考えると、旦那様はちょっと頼りないかな。
玉木 そりゃ頼りないよ(笑)。銀目廃止で店に人が押し寄せたときだってそうだけど、ここぞというときに前に出ないもの。
波瑠 あさのほうは「格別なおなご」なんて〝ホイホイ〟されて、前へ前へと出てしまう。本当にいざというときはどうなるんだろうと思ったりして。
玉木 新次郎は出ないでしょう。争い事は嫌いだから。
波瑠 でも、あさが突っ走りそうになると、うまく軌道修正してくれる。あさが炭坑で拳銃を見せたときもそう。
玉木 それも頭ごなしじゃなく、例え話などで伝えたいことを柔らかく伝える。あさは女性ならではの柔らかい力で前に進んだ人だけど、新次郎もそれとはまた違うしなやかさを備えた人。
波瑠 すてきなセリフもたくさんあって、ぐっときたのは、あさが初めて炭坑へ行くとき。「けがも病気もしたらあかん」っていう言葉からあさへの思いがすごく伝わってきて。
玉木 あそこはどういう距離感で言おうかとかなり悩みました。動きひとつで見え方が変わってくるので。面と向かって言うよりちょっと外して、さりげなくぽろっと本音を言ったという感じに見せたかった。

 

1/2

NEXT
WEBマガジン トップへ