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リポート

朱川湊人さん(『主夫のトモロー』著者)が「主夫の友アワード2016」を受賞

最終更新日 2016.11.1

今年5月に刊行された『主夫のトモロー』の著者・朱川湊人さんが、「“主夫の認知拡大”および、それにつながる“男性の家事育児参画”の促進に対して、社会的に貢献した各界の人を表彰する」とする賞、「主夫の友アワード2016」を受賞。2016年10月6日に行われた授賞式の様子を、ダイジェストでご紹介。


 今年で2回目となる「主夫の友アワード」を主催するのは、「政府が2020年に女性の管理職を3割にという目標を掲げているならば2020年までに男性の3割を主夫にしよう」という野望を掲げ、NPO法人ファザーリングジャパンに所属する“主夫”を名乗る男性たちで結成された、任意団体「秘密結社 主夫の友」。2015年より、団体の目的である主夫増加をさらに促進させるために、10月10日を「いい夫(1=いい、010=おっと)の日」と定めている。

 今回受賞されたのは朱川湊人さんを含め全4名。まずは、リオデジャネイロオリンピックで活躍し、今後頑張りたいこととして「イクメン」とインタビューで答えた、卓球選手の水谷隼さんが〈スポーツ部門〉で(※水谷さんはスケジュールの都合上欠席)。「イクボス」宣言を発表し、行政から男性の家事育児参画を促した宮崎県日南市長・﨑田恭平さんは〈行政部門〉での受賞。〈女性部門〉としての受賞は、2児の母であり、自身のブログで男性の育児参加の応援を積極的に発信した、タレント・女優のSHEILAさん。

 豪華な顔ぶれがそろう中、朱川湊人さんは〈文化人部門〉として受賞。27歳で小説家の夢を追って勤めていた出版社を退社し、フルタイムで働く妻を支えて主夫生活を送るかたわらで作家を目指した朱川さんは、作家デビューしたのちに直木賞まで受賞し、一流作家へのぼりつめた。今年、本人が体験した主夫の苦労や感動をもとに描くハートフルネスあふれる半自伝的な家族小説『主夫のトモロー』を出版。本作がすべての主夫に夢を与えるとともに、男性の家事育児参画を後押しする活動をしたことが称えられ、表彰された。

 朱川さんは受賞の挨拶で、「幼い頃から父子家庭で、父親が自分と2人の兄を育ててくれたこともあり、男性が家事をやるのはふつうのことだと思っていました。自分の子どもは自分が育てるのが当たり前と思っているので、“主夫”と名乗ったこともなく、自分が賞をいただいていいのだろうか……」と謙遜まじりの冗談で会場を沸かせていた。

 授賞式終了後は、「秘密結社 主夫の友」の顧問を務めるジャーナリストの白河桃子さんが司会を務め、﨑田さん、SHEILAさんとともに朱川さんもトークセッションに参加。「2016年、男性の家事育児参画を進めるためにどうすればよいのか?」というテーマのもと、三者それぞれの立場から自由な意見が交わされ、トークは展開された。


 その中で、「男性の家事育児参画についての障壁とは? 朱川さんが主夫をしていた時代と現在の違いは?」という質問が朱川さんに問いかけられ、次のように答えた。

 「もう20年くらい前の話ですが、当時は子どもを連れて平日の公園に行くと目立ちました。周りの目がすごく厳しく、仲よくなったママ友と話しているだけで、周りからは変な勘繰りをされることもありました。男の人は自分がどう見られるかを気にしてしまいがちなので、そのような風当たりの強さに弱腰になり積極的になれないところがあるかもしれません。でもいまは、“男だから”“女だから”という考え方がだいぶ薄まって、理解のある人が増えたと思います。育児グッズも便利なものができましたし、自分の頃は手縫いで用意していた雑巾も、いまは100円均一ショップに行けば手に入りますから、いい時代になってきたと感じます」

 続く「行政に望むものは?」という質問に対しては、「子どもが病気の時に男性も帰れるようにしてほしいです。そういう場合、だいたいはお母さんが迎えに行くと思いますが、お母さんだって仕事が大変なわけですから、そういうことがきちんと制度や文書として整うといいなと思います」と述べ、朱川さんなりの思いをアピールされた。

 その後も熱い議論が続き、最後に司会の白河さんの「未来の働き方は共働きだけでなく、共育てになっていくので、それを支える制度と社会の意識を変えていきましょう」というまとめの言葉で、「主夫の友アワード2016」は締めくくられた。

「秘密結社 主夫の友」の公式HPはこちら
『主夫のトモロー』著者・朱川湊人さんインタビューはこちら

プロフィール

朱川湊人(しゅかわ・みなと)

1963年生まれ、大阪府出身。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務を経て、2002年、「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。03年、「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短篇賞を受賞。初の著書『都市伝説セピア』が直木賞候補、05年『花まんま』で直木賞受賞。『わたしの宝石』(文藝春秋)、『箱庭旅団シリーズ』(PHP研究所)ほか、著書多数。