タイムボックス アンドリ・S.マグナソン

アイスランドで国民的人気の傑作ファンタジー フィリップ・K・ディック特別賞受賞作家の最新作! 「時間」に追われる大人にも、「時間」の大切さがわかりはじめた子どもたちにも 幸せのヒントにであえる物語

イラスト:牧野千穂

ストーリー

すべての謎は、時間が止まる不思議な箱から始まった!古代の王国と現代、時空を超えて行き来するふたつの世界の物語 すべての謎は、時間が止まる不思議な箱から始まった!古代の王国と現代、時空を超えて行き来するふたつの世界の物語

世界の始まりの国・パンゲアで、中に入った人間の時間を止める魔法の箱がつくられた。
王様は愛する姫を箱に入れて、いつまでも若く美しいままでいられるようにする。
やがてその箱は王や姫の運命を揺さぶり、世界のあり方を大きく変えることに。
そしてその呪いは、はるか先の現代にまでふりかかることになるのだった……。
時空を超えた壮大な旅を通して、ほんとうの幸せや豊かさに気づかせてくれる1冊。

登場人物 登場人物

不況にあえぐ現代を生きる人びと

長引く経済危機にうんざりした人々は、時間を早送りして今をやりすごそうとタイムボックス®を買いに走る。家族で入ったのに、一人箱が開いてしまった少女シグルンは、子どもだけしかいない荒廃した世界で白髪の謎めいた老女に出会う。グレイスはやがて子どもたちに「パンゲア国の王女」の物語を語り始める……。

はるか昔パンゲア国の人びと

はるか昔のパンゲア国。長く続いた平和な時代は最愛の妃が出産で命を落とした日から戦いの日々へと転じた。世界を征服し終えてもなお、心が満たされず苛立つ国王に届けられた、時間が止まる不思議な箱。王は妃の忘れ形見である王女を思うあまり、年に1、2度の「かんぺきな日」以外は彼女をそこに閉じ込めてしまう……。

著者紹介

著者から日本の読者へのメッセージ

あるときちょっと考えてみて、ぞっとした。ぼくは人生の1/7をゆううつな月曜日にすごしてきた。人生の1/6をぱっとしない2月と11月にすごしてきた。そしてぼくの人生の実に1/4は、暗くて寒い冬の日だったのだ! もし魔法の箱があって、どうでもいい時間を全部やりすごしてしまえたらどんなにいいだろう。そう思った瞬間から、頭の中に物語がふくらみだした。

子供のころから空想の物語が大好きだった。祖父はよく、自然界のいろんなことを民話を通じて説明してくれたものだ。ほら、鳥たちがもうじき雨がふるって教えてくれているよ、とか、あの岩はトロールが石に変えられてしまった姿なんだ、とか。昔からの謎や最新の科学も、そんなふうに物語で説明できたらいいのにと思うことがある。
アフリカ大陸の西側の海岸線と南アメリカ大陸の東側の海岸線は、ジグソーパズルみたいにぴったり合わさるけれど、このことを説明する神話ってあるんだろうか? 原子の分裂を説明する神話はどうだろう? 空想の物語にくわえて、深く考えさせてくれる物語や、神話、昔ながらのおとぎ話、『ロミオとジュリエット』のような物語も大好きだった。ボルヘス、トールキン、ヴォネガットなど、想像力にあふれ哲学を持った世界じゅうの作家を愛した。それから、芭蕉や一茶といった日本の俳人の、簡潔で明快な英知にも心ひかれた。

やがてぼくは現実の世界について心を痛めるようになった。人間は膨大な知識を持ちながら、なぜもっといい世界をつくれないんだろう? なぜ人は正しくないことばかりしてしまうんだろう? そしてそういう気持ちをすべて、一冊の本にまとめることはできないだろうか、と考えた。昔ながらのおとぎ話を軸に、SFの奇想天外さ、俳句や詩の明快な英知、現実の世界をもっといいところにしたいという切実な思いなどをもりこんでみよう。書きたかったのは、愛と友情と壮大なできごとの物語、架空の過去と未来の物語、そして、子どもも大人も楽しめる物語だ。
ぼくの紡ぎあげた物語を、みなさんが楽しんでくれますように!

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アンドリ・S.マグナソン Andri S.Magnason

作家、口承文芸研究家、自然保護活動家。1973年アイスランドのレイキャヴィク生まれ。アイスランド大学人文学部アイスランド語学科卒業。大学在学中から詩集や短篇小説などを出版し、作家として活躍する。1999年出版『青い惑星のはなし(Sagan af bláa hnettinum)』(学習研究社)で児童書初のアイスランド文学賞を受賞。2002年出版『ラブスター博士の最後の発見(LoveStar)』(東京創元社)でフィリップ・K・ディック賞特別賞、イマジネール大賞を受賞。本書で3度目のアイスランド文学賞を受賞。

コメント

全国の書店さん絶賛!

人間の営みの表と裏を見事に描き切った、その高い文学性には驚くほかない。鋭い社会風刺を感じさせると同時に、世界を変えるパワーを秘めた価値ある一冊だ!本当の人間らしさを問いかけるこの作品の登場は、きっと新たな伝説となるだろう。
─── 三省堂書店営業企画室 内田剛様
この先どうなるのかと読む手を止められませんでした。「復讐はいつももっともふさわしくない者を傷つける」――。胸に響く言葉がある物語は、大人が読んでもきっと深く考えることができる物語なのだろうと確信させるものでもありました。
─── ジュンク堂書店名古屋店 清田彩乃様
「時間」を題材にした名作と謳われる童話はいくつかありますが、この『タイムボックス』も何年か先にその「名作」の仲間に入り、永く読み継がれる1冊になるのかと思います。壮大なファンタジーにして良質な長編イソップ寓話。大人が読んでも登場人物の個性が際立ち、心理描写も興味深く飽きさせません。
─── ツタヤ 春日井店 河合誠様
貧しい少年と王女の道ならぬ恋物語であるような、本当は怖かったグリム童話のようであるような、子が父に求める家族愛でもあるような、残酷で少し切なくて、タイトルの通り、時間と人間について考えさせられるお話でした。
─── 三省堂書店名古屋高島屋店 近藤明子様
時間は誰にでも与えられるもの。その限りある時間をどう使っていくのかが生きる醍醐味。今までの時間は満足のいくものだった?これからの時間はどう過ごす?
立ち止まって考えさせてくれる作品です。
─── 丸善博多店 今村創子様
魅力的な登場人物、独特な作品世界に、読み応えたっぷりであっという間にのめり込みました。
大人から子どもまで幅広く読み継がれるべき作品です!
─── MARUZEN名古屋本店 竹腰香里様
このたび、アイスランド人作家、アンドリ・スナイル・マグナソンのファンタジー作品、
『タイムボックス(原題 Tímakistan)』が、日本語に翻訳されてNHK出版より刊行されたことを、たいへん嬉しく思います。
『タイムボックス』は2013年にアイスランド文学賞を受賞し、「最もすぐれた児童書」に選ばれています。この作品をもって、日本で出版されたマグナソン氏の著作は四作品となりました。これは快挙であると同時に、日本のみなさんのあいだでアイスランドおよびアイスランド文化に対する関心が高まっていることを如実に示しているように思われます。

マグナソン氏もまた、日本と日本文化を愛好しており、2014年に来日しています。
アイスランドにおいて、アンドリ・スナイル・マグナソンは有名な人気作家です。
小説のほかに、詩、戯曲、短編小説、エッセイ等も発表しており、その作品は様々な言語に翻訳されて、三十か国以上で出版されてきました。
マグナソン氏はまた、政治の分野でも活発に活動していて、持続可能性(サステナビリティ)と環境保護をベースとした価値観を表明しています。
そうした価値観は、彼が作品にこめるメッセージの中核ともなっています。マグナソン氏はわたしたちに、慎重に歩を進め、
世界的な視野に立って自然や天然資源や環境の保護につとめるよう、呼びかけているのです。

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─── 駐日アイスランド大使 ハンネス・ヘイミソン
「現在、未来、過去がファンタジーの世界に見事に編み込まれ、現実と魔法が融合した感動的な物語だ。
本作で著者は、西洋社会のライフスタイルや価値について問題提起をし、私たちが現状に対して負うべき責任を問うている」
─── スカンジナビア児童文学賞の選考委員の評

制作秘話

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Comming soon Comming soon

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2016年に出版されて話題を呼んだ『翻訳できない世界の言葉』(エラ・フランシス・サンダース著、創元社刊)の中で、「ティーマ(Tíma)」というアイスランド語の動詞が紹介されている。「時間やお金があるのに、それを費やす気持ちの準備ができていない」ことをしめす言葉だそうだ。本書、『タイムボックス』(原題は『Tímakistan』、アイスランド語で「時の箱」の意)に登場する近未来の人々も、ある意味、「ティーマ」の状態にある。

経済危機からいっこうに抜けだせないことにうんざりして、時間を早送りしようとしているのだ。タイムボックス®という、その中だけは時間が止まる不思議な箱に入って、「経済危機が去ったら、ひらく」という設定にし、不況の日々をやりすごす。今、時間を費やして問題に対処するのではなく、だれかがなんとかしてくれるのを箱の中で待ちつづける。ところが、みんなが同じことを考えてタイムボックス®に入ってしまったため、街では人が激減し、経済活動は不活発になる一方で、危機は去らず、箱はいつまでたってもあかない。街はゴーストタウンと化して、しだいに森にのみこまれていく。しかし、何人かの子どもだけは箱から出ることができて、グレイスという謎の老女から、ある物語を聞かされる。遠い昔の、パンゲアという国の物語だ。

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タイムボックス

アンドリ・S.マグナソン[著]・野沢佳織[訳]

定価 1,728円(本体1,600円)
ISBN 978-4-14-005681-3 C0097
読者対象 10 歳から大人まで
いま、世界中で読まれている名作贈り物にもぜひ!