『杉田敏の現代ビジネス英語 2024年秋号』の全ての音声(4Lesson分のVignetteとWords & Phrases。音声ダウンロードで聴けるものと同じ音声)が無料で聴けるようになりました(期間限定)。1Lessonが聞ける期間は1か月。「毎日規則正しく学習したい」「放送を聴くように受講したい」という方にお勧めです。「英文と訳を見ながら学習したい」という方は、別途ムックをご購入ください。
井出恭平は、日本にいるいとこの南美から、東海岸の名門大学に合格していて、もうすぐこちらに向かうという知らせをもらいました。でも、驚いたことに、授業料は1年間だけで6万5,000ドルかかり、さらに寮費、食費、書籍代、消耗品代が2万ドルを超えるというのです。普通のアメリカ人は多くの場合、それだけのお金を出すことができないので、やむなく連邦政府や民間の学生ローンに頼っています。
4年制大学の学位を取得するのにかかる費用は、公立大学でも平均で6桁に高騰しています。それだけの出費が報われるのでしょうか。一般的に、医学や科学・技術・工学・数学の分野の仕事では、芸術や人文科学の分野よりも給料を多くもらえます。とはいえ、大学は、将来多くの収入を得るためにだけ行く場所ではありません。
大学教育にかかる費用の高騰は、留学生にも打撃を与えています。特に日本人学生の場合は、円安なのでダブルパンチとなりました。学生ローンの多額の借金が増えていくことを恐れて、アメリカで勉強するのを諦めた留学生たちもいます。カナダやオーストラリア、ヨーロッパ諸国などの大学への留学を真剣に考える人たちも出てきました。
留学生が母国にとどまるほうを選ぶかもしれない理由の1つは、パンデミックをきっかけに生まれた、オンライン学習という選択肢を利用する可能性が増えたことです。アメリカの大学への出願に関しては、多くの場合、小論文が入学審査の明暗を分ける要素になります。小論文は、志願者が学力だけでなく、自分の性格、文章力、内省力をアピールする機会です。
南美が選んだ小論文のテーマは、「空手と微積分法の共通部分を探る」でした。彼女はもともと数学が得意で、小学生の時にも、数学の国際大会で何度も入賞しています。そして、中学の時に空手の稽古を始めました。南美は、この2つのテーマのつながりを掘り下げるとおもしろいだろう、と思ったのだそうです。