書を観て、真似ることで、あなたの人生は変わる！──これが本書のメッセージ。それって、本当？　とみなさんは思うかもしれませんが、まずは本書を手にとってご覧ください。空海や良寛など書の世界の巨人たちから、信長や龍馬など歴史上のヒーローたち、さらには相田みつをに岡本太郎、小泉純一郎、そして著者の武田双雲まで。24人の書を繊細かつ詳細な視点で紹介します。
余白美や線質、にじみ、かすれにいたるまで、技法を味わい、書き手の人柄までも自由に想像してみる。書には、作者の信念や哲学までが込められていることがわかるでしょう。書は人生のお手本です。書を観て真似ることは、字が上手くなるための手段であるだけでなく、生きる力を高める修練であると著者は言います。
とはいえ、本書は力んだ人生指南書ではありません。親しみやすい語り口で、書の世界の愉しさ、奥深さを説く入門書。あなたにとっての「人生を変える書」がきっと見つかるはずです。
（NHK出版　大場旦）