新入学の季節がくると毎年、「今年こそ英語が話せるようになりたい。勉強しよう！」と思うのですが、挫折続きです。中学・高校・大学と10年近くも英語を学んだのに、いざとなると話せないというのは、なんだか損した気分です。受験のために英文法だってかなり勉強したのに……。
私はセインさんの『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』（主婦の友社）や『その英語、ネイティブは笑ってます』（青春新書）を、（自分の英語力のなさを棚に上げて）ケラケラ笑いながら読むうちに、あることに気づきました。そこで紹介されている「日本人のヘンな英語表現」は、学校で習った文法に照らして、間違っていないものばかりなのです。どころか、実際に英語の教科書に載っていた例文もあります。じゃあ、ネイティブ・スピーカーから見た、ネイティブっぽい文法ってどんなものなの？？　それって、学校で習った文法で応用できないの？？
そんな「納得いかない感」丸出しの問いかけにこたえ、日本人とネイティブをへだてる「文法の谷」にスッキリと橋をかけてくれたのが森田修さんです。森田さんは英語学習書をたくさん書いている「英語のお勉強」のプロ。帰国子女ではないので、受験英語しか勉強してこなかった頭でっかちな日本人の実情もよくわかってくれます。セインさんが日本人の英語に感じる違和感に注目し、それがなぜネイティブにとってピンとこないのか、文法を手がかりに解明してくれました。
ｃanとbe able toはどう違う？　aとtheの使い分けは？　こう言いたいときには現在形と進行形と完了形とどれがしっくりくるの？ などなど、中学レベルの文法だけれど、いざ使うとなると迷ってしまうところは、けっこうあります。でもネイティブは、自然に身につけた文法にもとづいて無意識に使い分けています。その「ネイティブぽい英語のルール」に注目することで、「使える英文法」が効率的におさらいできる本ができました。カユいところに手が届く、著者のおふたりの絶妙なチームワークが、きっとあなたの「実戦力」を高めてくれることでしょう。
（NHK出版　福田直子）