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日本の魚は大丈夫か

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NHK出版新書 360

日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる

[著] 勝川俊雄

発売日 2011年09月10日

新書

品切れ

定価 814円(本体740円)

送料 110円

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商品紹介

いま漁業を変えなければ、魚が食べられなくなる!?

資源枯渇と魚価安で、衰退の一途を辿る日本の漁業。既得権でがんじがらめの「水産ムラ」にいまメスを入れなければ、漁業者の暮らしは救われず、食卓から国産の魚が消える日も近いだろう。しかし、適切な資源管理と健全な組合経営で、日本は世界有数の豊かな漁業と海と食卓を取り戻せる――。改革派の旗手が三陸復興への思いを込めて描く、持続的で儲かる漁業の未来図。魚の放射能汚染についても解説。

 みなさん、魚は好きですか? 「サンマを食べないと秋が来た気がしない」とか「三食カツオのたたきでもいい」とか、どなたも、どこの土地でも「この魚が食べられなくなることなんて想像できない!」という魚介のひとつやふたつはあると思います。
 しかし、1986年に、1,274万トンあった日本の漁獲量は、2009年には542万トンにまで落ち込みました。著者の勝川さんによれば、あと20年食べ続けられるかどうか、というくらいのレベルまで日本の魚は減っているのだそうです。
 また、漁業従事者の46パーセントは60歳以上。高齢化がすすみ後継者が不足しています。なぜか。
 その大きな理由のひとつは赤字経営の常態化です。農水省が公表している全国1,073漁協の損益計算書総括表(2008年度)によれば、事業総利益は1,092億円ですが、本業の成果を表す(と考えられる)事業利益はマイナス232億円。
 これらは、本書を担当したからこそ知った現実のほんの一部です。

 大津波と原発事故に見舞われて、いったい三陸の漁業はどうなってしまうのか。最高品質のカキは? ワカメは? 4月、魚介類好きの人たちを勝手に代表するような思いで三重大学に著者を訪ねました。
 暮れなずむ研究室で勝川さんが見せてくれたのは、サバ、マグロなどの魚がほとんど幼魚のまま乱獲され続けていることを示すグラフでした。日本の漁師さんは、このままでは魚がいなくなるとわかっていながら、魚が高く売れずに生活が苦しいので、小さな魚でも獲らずにはいられない状況に追い込まれているケースが多いようです。
 それに対して、ノルウェーやほかの漁業先進国では、魚は大きくなるまで待って、適切に獲ります。魚の値段が高いので、漁師さんの年収が2000万円超なんてザラだというではありませんか。
 やり方次第で漁業は儲かる。それも、世界的に食糧価格が上がっている今、漁業はまさに数少ない成長産業のひとつだったのです。
 壊滅的な被害を受けた三陸漁業も、やり方を変えて立て直せば、被害のハンデを克服し、世界に誇れる地場産業に生まれ変わることができる。
 それが、年来、漁業改革を訴えてきた勝川さんの、祈りにも似た思いです。ではどこをどう変えればいいのか。どんな支援が必要とされているのか。各種のデータに基づいて、本書では具体的に論じていきます。

 編集作業も大詰めにさしかかった8月半ば、現地取材でお世話になったある流通関係者の方から、こんなメールが届きました。
 「ここのところカツオやマグロの水揚げがあるのですが、冷蔵・冷凍施設を失った流通業者はストックが出来ないので新鮮なうちの生出荷しか方法がなく、買い入れた魚をさばくことから最終のユーザーに届くまでをほぼ一人で奮闘せねばならなくなっております。結局、儲け分を減らしてでも処分しています。買受人組合では、会員の7割が、廃業か存続かを考慮中とのことです。今日も廃業者が出ました。政府の施策をよりどころにしている加工業者の動揺も激しく、業界全体が、元気もやる気もどんどんなくしかけています。こうやってみんなが倒れてゆくのがとても悔しいです」。
 震災から約半年。支援の手が届かない人たちが希望を持ち続けることは、難しくなりつつあります。その方がたは、今までおいしい魚や貝を、食卓に届けてくれていた人たちです。

 大漁旗にねじり鉢巻の漁師さん、活気ある朝市に海鮮丼――。旅愁を誘う港町の深層には、看過できない問題が隠されています(というか、原子力ムラのように、「見ようとしてこなかった」というほうが正しいかもしれません)。手遅れになる前に、ぜひ、みなさんも本書を手にとって、著者の提言に耳を傾けていただければと思います。
(NHK出版 福田直子)

目次

第一章 三陸漁業者はいま――変わり果てた海を前に
第二章 花形産業から斜陽産業へ――日本漁業の近代史
第三章 儲かる漁業の方程式――先進国に学ぶ改革モデル
第四章 漁業は自己改革できるか――デタラメ経営との決別
第五章 新しい水産モデルを三陸から――産業とコミュニティ再生への提言
第六章 水産物の放射能汚染について最低限知っておきたいこと

商品情報

発売日
2011年09月10日
価格
定価:814円(本体740円)
判型
新書判
ページ数
224ページ
商品コード
0088360
Cコード
C0262(水産業)
ISBN
978-4-14-088360-0