パソコン、インターネットなどの普及が脳の機能に及ぼす悪影響を取り上げ、現代人に警鐘を鳴らした『フリーズする脳』。脳を若々しく保つための生活習慣をきめ細かく伝えた『脳が冴える15の習慣』。気持ちを安定させ、前向きに生きるための脳の使い方に的を絞った『脳と気持ちの整理術』。この3冊は累計80万部を超える人気シリーズとなりました。
　そして、本書は4年ぶり、待望の第4弾となります。今回のテーマは「勉強法」です。脳の性質に即した、本当に効果的な学習法を探っていきます。
　本書も、これまでと基本的な方針は変わりません。奇を衒わない、飛躍したことは書かないということを大前提に、脳科学的な常識と臨床経験に裏打ちされた「脳の性質からみて正しい」と思われる知識のみを伝えるというスタンスを取っています。何か特別なことを語ろうというわけではありません。
　そのため、話によっては、「同じことをよく親から聞かされた」、「学校の先生から指導されたことがある」、「知らず知らずに実行していた」というものもあるでしょう。でも、本書を読まれて、それが脳の性質からもお奨めできることだということがわかれば、きっとこれまで以上に自信を持って実践できるはずです。
　学生時代までさかのぼって、ノート術、読書術など、オリジナルの勉強法を紹介したり、そもそも医者を志すことになった動機に触れたり……、著者自身のプライベートな部分を明かしているのも今作の大きな特徴です。
　人間味あふれるエピソードの数々に、築山先生との距離がより一層近く感じられる1冊になったような気がしています。
（ＮＨＫ出版　林　史郎）