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巨大地震はなぜ連鎖するのか
016年4月、熊本県及び九州一帯を襲った熊本地震は、地下にひそむ活断層がずれ動いたことで起きた。西南日本では、この年ほど内陸地震と火山活動が活発化しており、この状況は南海トラフ巨大地震までおさまらないと考えられる。日本列島に活断層が多い理由、列島が形成されたメカニズムをひもときながら、「プレートの交差点」に位置する日本列島の将来を専門家が易しく解説する。
今後の地震に備えて、知っておくべき基礎知識を多数掲載!
・ 熊本地震は想定内だった
・ 日本列島が過去に受けた古傷、それが活断層
・ 活断層は日本国内で約2000見つかっている
・ プレートの沈み込みが内陸地震を引き起こす
・ 内陸地震の活発化が意味することとは?
・ 南海トラフ巨大地震の災害群にどう備えるか
2016年4月に九州一帯を襲った熊本地震では、私たちの住む日本が地震大国であることをあらためて思い知らされました。
西南日本では、1995年の兵庫県南部地震以降、2000年の鳥取県西部地震、2005年の福岡県西方沖地震、そして熊本地震と、頻繁に大きな内陸地震が起きています。地震は「活動期」と「静穏期」を繰り返しており、熊本地震は西南日本が「活動期」に入ったあらわれと見られます。さらにここ数年、桜島、新燃岳、口永良部島ほか火山活動も活発化しています。熊本地震は偶然ではなく、長期的に進行している一連のプロセスであり、この傾向は南海トラフ巨大地震が起こるまで続くということです。
本書は、差し迫る災害について警鐘を鳴らすべく、熊本地震後に緊急で企画したものです。著者は長年にわたり日本の山々を調査・研究してきた地質学者。日本列島ではなぜこうして巨大地震が次々と起こるのか、日本列島の形成過程、現在の地殻変動といった観点から解説する一冊です。
日本列島には、列島が形成された2500万年前に負った「古傷」である活断層が、現在見つかっているだけでも約2000存在しています。単純に「活断層は危ない」と不安を煽る向きもあるでしょう。しかし、活断層はプレートの動きに連動して動き、必ずしも活断層に近いほど被害が大きいわけではないことは、本書を読めばおわかりいただけることと思います。
地震は、地球の歴史上、そして日本が「プレートの交差点」に位置している以上、避けて通れない必然的な現象です。今後起こりうる内陸地震のリスクを理解し、被害を最小限にするためにも必読の書です。
(NHK出版 佐伯史織)