マイコンテンツや、お客様情報・注文履歴を確認できます。
閉じる
0
0
カートを見る

カートに追加されました

お支払いに進む

ナショナリズムは悪なのか

閉じる

NHK出版新書 361

新・現代思想講義

ナショナリズムは悪なのか

[著] 萱野稔人

発売日 2011年10月08日

新書

品切れ

定価 814円(本体740円)

送料 110円

売り切れました
同じシリーズの商品を見る

商品紹介

危機の時代を現代思想で読み解く、俊英が満を持して放つ挑発的論考!

今、なぜナショナリズムを考察するべきなのか?格差問題から経済復興までの喫緊の課題は、「国家」「民族」などのナショナルな意識に訴えかけることなくしては、もはや解決しえない。ナショナリズムを否定するだけの従来の議論を徹底的に批判し、ドゥルーズ=ガタリやフーコーなど現代思想のキーテキストを読み解きながら、ナショナリズムの可能性を考える。国家への深い洞察に基づいた決定的論考!

 3・11以降、「未曾有の国難」「愛国心」「国民の一致団結」などと説かれることが多くなった。危機の時代ほど、国家や民族という意識が前景化する。今後、ナショナリズムはますます意識されるようになるだろう。だからこそ、ナショナリズムが暴走して「排除の原理」と化すことを避けるために、その機能や意義についてきちんと考察しておく必要がある。これが本書の問題意識だ。
 日本の人文思想界では、ナショナリズムというと、とにかく「危険なもの」とされてしまう。誰もが「ナショナリズムは悪だ」という前提で議論を組み立てている。だが、果たして本当にそうなのか? これは一種の知的怠慢ではないか? この国の論壇や人文思想界が前提としてきたフレームを根本から問い直す、それが本書の第一の課題である。
 そのためには、ナショナリズムとはそもそも何か、それはどのような歴史的過程を経て生まれてきたのかをきちんと押さえておかなければならないだろう。
 ナショナリズム論については、ヨーロッパの現代思想を中心に、膨大な蓄積がある。現代思想を専攻し、国家やナショナリズムについて犀利な考察を重ねてきた著者は、国家の本質は暴力の独占だと指摘する。国家は逮捕という形で強制的に人の身柄を拘束することができる。死刑という形で人を殺すことができる。合法的な暴力の独占こそ国家の基本定義だとすれば、ナショナリズムの本質とは、暴力を国民のものとしてコントロールする機能、つまり国家の権力に対抗しそれを牽制するものとしてあったのではないか。
 では、「国家はわれわれ国民のものである」「国家は国民のために存在し、国民の生活を保障するものである」という「国家を縛る原理としてのナショナリズム」は、いかに定着したのか。その歴史的過程を、ドゥルーズ=ガタリやフーコーなど現代思想のキーテキストや、アーネスト・ゲルナーやベネディクト・アンダーソンなどナショナリズムの古典を読み解きながら追っていくこと。これが次なる課題である。
 以上挙げたテキストについては、とにかく難解なものである、というイメージを持っている人が多いだろう。しかし、心配ご無用。本書では、これらテキストのポイントがじつに明快かつ平易に解説されている。ナショナリズムは現在の日本人全てにとって喫緊の課題である。だからこそ、今まで思想書に馴染みのなかった人にこそ本書を読んでもらいたい。これが著者の意図だ。
 格差・貧困問題から経済復興までのさまざまな課題は、人々のナショナルな意識に訴えかけることなくしては、もはや解決しえないだろう。ナショナリズムをただ否定するだけの従来の議論を超えて、その新たな可能性を探ること。本書は、このテーマに若き俊英が挑むまったく新しい現代思想入門なのだ。
(NHK出版・大場旦)

目次

第一章 ナショナリズム批判の限界――格差問題をめぐって
第二章 ナショナリズムとはどのような問題なのか?
第三章 国家をなくすことはできるか?――国家を否定する運動がナショナリズムに近づくという逆説
第四章 私たちはナショナリズムに何を負っているのか?――国家と資本主義の関係をめぐって

商品情報

発売日
2011年10月08日
価格
定価:814円(本体740円)
判型
新書判
ページ数
224ページ
商品コード
0088361
Cコード
C0210(哲学)
ISBN
978-4-14-088361-7