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レイヤー化する世界

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NHK出版新書 410

レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる

[著] 佐々木俊尚

発売日 2013年06月07日

新書

品切れ

定価 902円(本体820円)

送料 110円

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商品紹介

「次に来る世界」を第一人者が克明に描く

情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。

 著者の佐々木さんは、一定の領域ではなじみがあるが一般にはあまり使われていない用語を現下の社会情況やコミュニケーションの文脈に沿って位置づけなおすのがお得意です。
 私たちは、その言葉がもとから持っている意味も考量しながら、新しく付与されたニュアンスや用法をつかって、自分なりに社会やほかの人びととの関係性を理解し、再構築しようとこころみるわけです。過去には「ノマド」「キュレーション」「当事者」。そして今回は「レイヤー」です。

 Photoshopなどの画像処理ソフトを使っておられる方にとってはなじみ深いこの「レイヤー」という言葉を借りて、佐々木さんはつながりが多層化、重層化してゆく世界を丁寧に描いてゆきます。
 それが具体的にどのようなものであるかはぜひ本書をお読みいただくとして、ここでは本書の特長を三点、紹介させていただきます。

 まず第一は、とにかくわかりやすく、かみくだいて書かれている点です。
 とかくビジネスマン向けの情報社会論の本は耳慣れないカタカナ語のオンパレード。これでは「ITはちょっと苦手」層の学習意欲を殺いでしまいます。本書では、極力専門用語を使わずに、また、巧みなアナロジーや寓話を使っていきいきと「これまで」と「これから」の差異を解説していきます。

 第二は、紙幅の半分ほどを割いて中世から20世紀までの文明史を振り返っている点です。
 まさに大いなる前提といったところですが、はやく「これから」のことが知りたい!と逸る気持ちもどこへやら、古今東西の名著からネットニュースまで、さまざまな知見からキュレーションされた「佐々木流・テクノロジーの文明史」はすこぶるダイナミックで、いつのまにかタイムトリップしたような感覚に襲われます。中高生でも楽しく歴史が学べますし、すでに教養ある大人の本読みさんにとっては、「ああ、このくだりって○○が『××』で提示したあの説のことね」なんて、クイズ感覚で楽しめます(クイズの答えは巻末の参考文献リストでご確認を!)。

 第三は、著者が〈場〉という概念を提示し、それを新しい権力として明確に規定している点です。
 〈場〉は本書において、レイヤー化する世界を構築し、駆動し、管理するテクノロジーそのもの、その世界で支配的なプラットフォーム、またはそうした社会システムの総体など、多義的に使われます。『レイヤー化する世界』は、『〈場〉の帝国』と言いかえることもできます。
 これまで、人類はテクノロジーによって便利で豊かな生活を築く一方で、ときに甚大な災厄も引き起こしてきました。その歴史をみれば、これまで権力者は、自らの権力のためにテクノロジーをつかいこなせる者であったといってもいいかもしれません。
 しかし、「これから」の権力は「これまで」とは決定的に違う――。テクノロジーと社会の相互作用について考察を重ねてきた著者はそう結論づけます。

 佐々木さんが描く未来社会は、いままでの世界がそうであったのと同様に、それ自体がユートピアであるわけでもなければ、ディストピアでもありません。
 そして本書は、来るべき新しい世界であなたがどう生きていけばいいかを教えてくれるものではありません。だって、ここに描かれている世界は佐々木俊尚というひとりの人間のレイヤーを通して見える世界にすぎないのですから。
 しかしそこに描かれている世界像は、事件記者としてリアル社会の複雑さと理不尽さに通暁し、ITジャーナリストとして茫洋たる情報の海からコンテキストを編んできた著者にしか達しえない、圧倒的な説得力にみちています。
 だから私はいま感じることができます。みなさんと私は、もう本書の読者というレイヤーでつながっていることを。
(NHK出版 福田直子)

目次

プロローグ 現代――第三の産業革命が起きている
第一部 中世――多くの民族がともに栄えた帝国の時代
episode I 十四世紀 世界を旅した果てに中国で見たもの
第一章 かつてヨーロッパは辺境の地だった
第二章 なぜ中世の帝国は滅んだのか第二部 近代――私たちが「国民」になった時代
episode II 二十世紀 革命と戦争、そして幸せな家族の日々
第三章 「国民」は幻想からやってきた
第四章 「民主主義」という栄光
第五章 崩壊していく民主主義と国民国家第三部 未来――〈場〉の上でレイヤー化していく世界
episode III 二十一世紀 金鉱掘りの新しいテクノロジー
第六章 すべては〈場〉に呑み込まれる
第七章 レイヤー化する世界
第八章 「超国籍企業」が国民国家を終わらせる
第九章 新しい世界システムと私たち

商品情報

発売日
2013年06月07日
価格
定価:902円(本体820円)
判型
新書判
ページ数
280ページ
商品コード
0088410
Cコード
C0236(社会)
ISBN
978-4-14-088410-2