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おね 下
加藤清正、福島正則ら多くの戦国武将に母と慕われ、秀吉を助け天下一の女性となった北政所「おね」。唯一の武器は、知略でも武力でもなく、相手の心に寄り添える“共感力”だった─。信長、秀吉、家康に愛された北政所「おね」の生涯を描く! もう一つの大坂の陣ストーリー。
おねは、「母」でした。
自らの身で子を産むことはなかったおねですが、実に多くの「子」を育てます。
養子・養女・人質たちの母となり、加藤清正、福島正則といった名将を育て上げ、石田三成、大谷吉継なども、若き日をおねのもとで過ごしています。
おねは、戦国時代のゴッドマザーだったのです。
おねは、「共感」の人でもありました。
相手の中に入り込み、その心を惹ひき付け、相手が気づかぬうちに、知らず知らず自分をさらけ出させてしまう。
他人の思いや感覚を、おのれと同一のものにできる。
その稀有な能力を使って、緻密な人的ネットワークを巡らせ、戦国の世に「人間山脈」を作り上げたフィクサー。おねは、そんな人でもあったのです。
そしておねは、何よりも「平和」を望む人でした。
戦乱のただなかに生まれながら、おそらく誰よりも戦いくさを嫌ったおね。
織田信長その人に、天下泰平の夢を重ね、信長が滅した後は、夫、豊臣秀吉に、その願いをつなぎます。
しかし、秀吉亡き後は、その思いを誰に向ければよいのか…… 。
「女には生み、変化させ、守る力がある。その上で、時の流れを感じ、先を読むことができる女が現れた時、まことの天下泰平の世がくる── 」
軍師・竹中半兵衛の言葉を信じ、覚悟を決めたおねが選んだ道は……。