マイコンテンツや、お客様情報・注文履歴を確認できます。
閉じる
0
0
カートを見る

カートに追加されました

お支払いに進む

憲法の創造力

閉じる

NHK出版新書 405

憲法の創造力

[著] 木村草太

発売日 2013年04月10日

新書

在庫あり

定価 858円(本体780円)

送料 110円

同じシリーズの商品を見る

商品紹介

条文を変えても国や社会は変わらない。「改憲論議」をする前に、必読の一冊!

良い憲法を創るということ。それは、新憲法を制定することでも、憲法を改正することでもない。憲法の原理を理解した上で、そこから、想像力を駆使して、より良き国家・社会のルールを創造することなのである。それはいかに可能か。君が代斉唱、一票の格差、9条などホットな憲法問題を題材にして、気鋭の憲法学者が、先端的な憲法学の成果を踏まえながら精緻かつ大胆に考察する。これまでにないラディカルで実践的な憲法入門書。

 「憲法学界に、木村草太という麒麟児がいる」ということを知ったきっかけは、2011年の10月、週刊誌の「[意外なベストセラー本]大調査」(『週刊SPA』)という記事のなかで、東京大学生協(本郷キャンパス)のベストセラー1位として『憲法の急所』(羽鳥書店)という本が取り上げられていたことでした。この『憲法の急所』の著者が木村草太氏で、さっそく購入して読んでみたものの、法科大学院生が司法試験に受かるために読むようなレベルの本でまったく歯が立ちません。ただ、その論議の端々から漂ってくる思考の論理性と独創性だけは感じることができ、「この人に、初学者向けの憲法書を書いてもらえたならば」ということで、ご執筆いただいたのが著者初の入門書『憲法の創造力』であります。
 本書では、第一章で「君が代斉唱」、第二章で「一票の格差」、第三章で「裁判員制の合憲性」、第四章で「政教分離」、第五章で「生存権保障」、第六章で「公務員の政治活動規制」、そして終章では「9条」についてと、各章で具体的な憲法問題を題材にしながら、そもそも憲法とは何か、憲法が真に要請しているものとは何か、この憲法からいかなる社会のルールが創り出せるかを論じています。どの章も「目から鱗」なのですが、例えば、第二章の「一票の格差」問題。先の衆院選挙に対する各高裁の「違憲」判決が続き、定数是正に向けての動きなど注目が集まるこの問題について、「そもそも選挙の正当性と正統性はどこから生まれるのか」という憲法の原理論のところから、SF小説の名作『アイ、ロボット』やクイズミリオネアなどトリビアな例えも交えながら論じられていて、目から鱗がたくさん落ちます。現状の一票の格差が本当に「違憲」なのか、例えば「O増5減」の定数是正で格差を2.0以内に抑えればそれで済むのか、都市住民が違憲訴訟を起こす正当性は果たしてあるのか……本章を読むと「一票の格差」問題がまるで違って見える、と言いますか、これを読まずして「一票の格差」を語ることなかれ、と思わせる気迫溢れる論となっています。
 著者は、憲法の原理からこのような「新たな一手」を創造するために、これまでの憲法論の「通説」や「大原則」にあえて疑問を投げかけているところがあります。しかし、それは決して、日本の憲法学の蓄積をないがしろにしているということではありません。逆に、この著者ほど、戦後の憲法学の格闘の歴史を継承しようとしている人もいないのでないかとも感じます。「憲法からの創造」とは、著者が9条を論じた終章で語るように、「終わりがないと思えるほど途方もない仕事」なのかもしれません。
「改憲論議」がこれから本格化していくなか、「憲法学界の切り込み隊長」としての著者の活躍の場はますます広がっていくと思われます。そのマニフェストとして本書を是非一読いただければと願っています。
(NHK出版 高井健太郎)

目次

  序章 憲法とは何か?
第一章 君が代不起立問題の視点――なぜ式典で国家を斉唱するのか?
第二章 一人一票だとどんな良いことがあるのか?――クイズミリオネアとアシモフのロボット
第三章 最高裁判所は国民をナメているのか?――裁判員制度合憲の条件
第四章 日本的多神教と政教分離――一年は初詣に始まりクリスマスに終わる
第五章 生存権保障の三つのステップ――憲法25条1項を本気で考える
第六章 公務員の政治的行為の何が悪いのか?――国民のシンライという偏見・差別  終章 憲法9条の創造力

商品情報

発売日
2013年04月10日
価格
定価:858円(本体780円)
判型
新書判
ページ数
240ページ
商品コード
0088405
Cコード
C0232(法律)
ISBN
978-4-14-088405-8