よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

バックナンバー一覧
Vol.15

武蔵裕子さん
「小さな鉄のシチューパン」

「きょうの料理」12月号掲載分

長年、丈夫な鉄製の調理器具を愛用しているという武蔵さん。もう30年間以上、朝の目玉焼きは鉄のフライパンで焼くのがお決まりなのだとか。そんな武蔵さんが“最近のお気に入り”と見せてくれたのが、直径約18cmの小さなシチューパンです。
「鉄製の鍋というと扱いづらいイメージがありますが、このシチューパンは扱いやすいサイズ感でかわいい。それでいて、ちゃんと高級感もあります。1~2人分の料理にぴったりで、煮物や汁物はもちろんのこと、揚げ物やオーブン料理まであらゆる料理に大活躍。シンプルで美しい佇(たたず)まいもお気に入りです」
 このシチューパンは、岩手県の工芸品として長年愛され、一点一点職人の手でつくられている、歴史ある鉄器。製造過程で表面に細かな凹凸ができるため、調理中も焦げつきにくいのだといいます。また、厚みがあるので、料理の温度にムラができにくく、保温性も高いのだそう。その品質は確かで、コンパクトなつくりながら、手にとるとずっしりと重みがあります。
「頑丈で傷みにくいから、仕事でもプライベートでもガンガン使えますね。一生ものの道具だと思っています。鉄は使うほどに味わい深くなるものだから、これから使い込んでいくのが楽しみです。この鍋でつくった料理を食べると、鉄分もとれると信じて毎日せっせと使っています(笑)」
 見た目は小さいけれど、武蔵さんの毎日を支える、心強い相棒なんですね。

撮影・竹内章雄

鶏手羽元の和風ポトフ

鶏手羽元のだしで、うまみたっぷり。厚手の鍋でコトコトじっくり煮込めば、心も体もホッと温まります。

材料(2人分)

鶏手羽元…4本(200g)
大根…8cm(250g)
にんじん…1/2本(100g)
結び昆布…4コ

A

水…カップ3 1/2
酒…大さじ2

B

しょうゆ…小さじ1
塩…小さじ1/3
◎170kcal ◎塩分1.8g ◎35分
  1. 大根は大きめの乱切りにする。にんじんも食べやすい大きさの乱切りにする。
  2. 鍋にA、手羽元、1、結び昆布を入れ、強火にかける(写真下)。煮立ったらアクを除き、ふたをして弱火にし、20~25分間煮る。Bを加えて味を調える。

鶏手羽元と根菜は、水から煮るとうまみが出て、味に深みが増す。

オーブン料理にも使える

家庭用のオーブンにすっぽり収まる大きさで、オーブン料理にも活躍します。IHも使用可能です。※加熱後、本体や持ち手は高温になりますので、直接触らないようにしてください。

温度が安定して、冷めにくい

本体もふたも厚みがある鉄製。全体にまんべんなく熱が伝わるため、温度差ができにくく、保温性にも優れています。煮物、揚げ物、鍋やスープ、ご飯物など、さまざまな料理に活躍します。

鉄器ならではの高級感と、扱いやすいサイズ感

内径18.5cm、深さ6.5cmと軽やかなサイズ感ながら、重さは2.7kg(ふたを含む)と鉄器ならではの重厚感も併せもちます。丈夫で傷みにくく、長く使用できます。内面のさびが気になる場合は、たわしでこすり落とし、油をなじませてから使いましょう。

理由ありの道具たち
バックナンバー一覧