よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

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Vol.22

髙山かづえさん
「自分で育てる炒め鍋」

「きょうの料理」7月号掲載分

丁寧に手入れされた道具と器が並ぶ髙山さんのキッチン。そのなかで、ひときわ存在感をはなっているのが、この炒め鍋です。以前住んでいた自宅のキッチンがIH だったことから、IH 対応の鉄の鍋を探していて出合ったのだそう。「フライパンと中華鍋のいいとこどりのような鍋で扱いやすく、もう10年以上使い続けています。普通の中華鍋は重くて調理するのも洗うのも大変ですが、これは軽いから腕が疲れません」
 さっそく炒め物をつくる様子を見せてもらうと、まず耳に飛び込んできたのが、鍋の中で食材がリズミカルに踊るような心地よい音。「鉄の鍋ならではですよね(笑)。熱伝導がいいから、水分が出やすいきゅうりもシャキッと歯ざわりよく炒められます。このおいしさを知ってしまったら、もう手離せないですね」
 表面には特殊な熱処理が施されているためさびにくく、難しい手入れも必要ないのだそう。「私は主に炒め物用に使っていて、使い終わったらお湯で洗い流し、水けを拭くだけ。長年使い込んできたおかげで、油なじみがよくなり、今ではどんな素材もおいしく炒められるという安心感があります。鉄の鍋は自分で育てて使いやすくする道具。今後もよき相棒として、大切に使い続けていきたいです」

撮影・宮濱祐美子

きゅうりとえびの青じそ炒め

きゅうりの歯ざわりのよさに感動!
鉄鍋の実力が、おいしさにはっきり出ます。

材料(2人分)

きゅうり…2本(200g)
むきえび…150g
青じそ…6枚
にんにく(みじん切り)…1かけ分

A

酒・水…各小さじ1
塩・片栗粉…各小さじ1/4
黒こしょう(粗びき)…少々
●塩・黒こしょう(粗びき)・酒・サラダ油
◎140kcal ◎塩分1.5g ◎15分
  1. きゅうりは皮をむいて縦半分に切り、種を除いて1cm幅の斜め切りにする。えびは背に切り目を入れて背ワタを除き、塩少々でもみ洗いをする。水けを拭き、塩・黒こしょう・酒各少々をふる。青じそは一口大にちぎる。Aは混ぜ合わせる。
  2. 炒め鍋を中火にかけてサラダ油大さじ1/2を熱し、えびを炒める。色が変わったら、サラダ油大さじ1/2を足してにんにくを加え、サッと炒める。
  3. きゅうりを加えて強火にし、1分間ほど炒める。全体に油が回ったら、Aをもう一度混ぜて回し入れ、全体をサッと炒め合わせる。青じそを加え、サッと混ぜる。

揚げ物にも重宝

底面が小さいので少量の油でも深さが出て、おいしく揚げられます。注ぎ口は使った油をオイルポットに移すときに便利。

底が平らで使いやすい

底が丸い中華鍋と違い、平らだから調理台に置いたときに安定し、盛りつけがラク。

シャキッと炒められる

熱伝導がよく、しかも側面までしっかり熱が回るため、素材に熱がムラなく伝わります。シャキッと食感よく炒め上がった野菜のおいしさは格別です。

理由ありの道具たち
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