よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

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Vol.16

和田明日香さん
「火加減いらずの土鍋」

「きょうの料理」1月号掲載分

8~9年前、和田さんが初めての土鍋を探していたときに、「土鍋初心者にはコレ!」とすすめられて購入し、今も愛用しているというのが、こちらの土鍋。なんと、一度火にかけたら火加減の調節をする必要がなく、ほったらかしでおいしいご飯が炊き上がるのだそうです。
「土鍋って火の調節が難しいイメージがあったのですが、この土鍋は『白米3合なら強めの中火で約13分間』というように、米の量と種類によって、火加減と時間の目安が決まっているので、とても簡単です。中ふたがついている二重構造で、高い圧力ながら吹きこぼれの心配もないので、安心してほうっておけますよ」
 この土鍋は、ご飯の炊きやすさを追求してつくられた、こだわりの逸品。保温性と吸水性を併せもつ伊賀の粗土を使い、職人の手で厚みのある形状に削り出しています。この厚みが、火加減いらずの秘けつ。熱を均等にやさしく伝え、二重のふたによる高い圧力で、米の芯までふっくらと火が通ります。和田さんが使っているのは、直径24cmの1~3合炊きに適したサイズ。
「炊飯器はご飯づくりの戦友のように思っていますが、たまに炊く土鍋のご飯はおいしさが格別。土鍋のまま食卓に出すとごちそう感があって、子どもたちの反応も違います。炊き込みご飯や玄米はもちろん、寒い時季は鍋料理にも活躍しています」
 冬真っ盛りになるこれからの季節、土鍋も炊飯器に負けない、頼もしい戦友になってくれそうですね。

撮影・豊田朋子

切り餅でちまき風

米と餅を一緒に炊いて混ぜると、ご飯がツヤツヤ&モチモチに!
火にかけたら、あとは土鍋まかせででき上がりです。

材料(3~4人分)

米…360ml(2合)
切り餅…1コ(45g)
豚バラ肉(薄切り)…100g
れんこん…70g
にんじん…40g

A

水…カップ2
干し貝柱(手でほぐす)…15g
するめ(乾/細かく切る)…15g
干ししいたけ(軸を除いて細かく割る)…10g
しょうゆ・みりん…各大さじ1
塩…小さじ1/4
青のり粉…適量
●ごま油
◎440kcal ◎塩分1.4g ◎20分*
*米を浸水させる時間、蒸らす時間は除く。
  1. 米は洗って約30分間浸水させる。れんこんは1cm角に切る。にんじんは粗みじん切りにする。餅は縦半分に切って5mm厚さに切る。豚肉は1cm四方に切る。
  2. フライパンにごま油小さじ1を中火で熱し、豚肉、れんこん、にんじんを炒める。豚肉の色が変わったら火を止める。
  3. 土鍋に1の米を水けをきって入れ、餅、2、Aを加えて混ぜる。中ふたと上ふたをし、強めの中火で11~12分間、蒸気の勢いが強くなるまで炊く。その状態で1分間たったら火を止め、20分間蒸らす。しゃもじでよく混ぜ、食べやすい大きさに握って青のり粉をふる。

木製のしゃもじ付き

木目が美しいしゃもじ付き。ご飯に香りが移らず、ご飯粒がつきにくい国産の木を使っています。ふたの溝はしゃもじ置きに。

使いやすい3合炊き

直径24cmと、1~3合炊きに適したサイズ。白米だけでなく炊き込みご飯や玄米の炊飯も可能。炊く時間を約1分間のばすと香ばしいおこげができます。ご飯のほかに鍋物や煮物にも使いやすいサイズです。

二重のふたで高い圧力

遠赤外線効果の高い釉薬を塗った二重のふたが、圧力釜のような働きをし、ご飯をふっくらと炊き上げ、吹きこぼれも防ぎます。程よく圧力をかけるため、中ふたの2つの穴と、上ふたの穴の位置が直角になるようにセットしてください。

厚みのある形状で、火加減いらず!

一般的な土鍋より厚みがあるので、熱をしっかり蓄え、やさしく伝えます。特に、直火になる底面は肉厚。この厚みが、火加減なしでご飯をおいしく炊き上げる秘けつです。粗土ならではの吸水性もあり、ご飯がベタつきません。

理由ありの道具たち
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