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Vol.26

今月の「道具」=
下ごしらえに便利なアルマイト小皿

選んだひと
城 素穂

じょう・もとほ=スタイリスト。ベルギーで食ともてなしを学び、雑誌や書籍で活躍する。

料理を手早く仕上げるためには、下ごしらえを合理的にするのがポイントです。そんなときに役立つのが、食材を分けておく小皿。城さんが見つけたのは懐かしいアルマイト製で、軽くてシンプルなデザインのものです。炒め物などの野菜や肉を切って、食材ごとに分けるのにちょうどよいサイズ。何枚か持っていると、とっても便利です。
重ねてもコンパクトなので、収納もラクチン! 調理中のスプーンや菜箸の受け皿にしたり、ちょっとおやつをのせたりと、大活躍すること請け合いです。

「料理の下ごしらえにはずっとステンレス製の小皿を使っていたのですが、最近見つけたアルマイト製のものは、もっと軽くて使い勝手がいいのです。むだのないつくりで、サイズも下ごしらえ用にちょうどいいですね。ぴったりと重ねられるため、収納もコンパクトで、取り出すときのとっかかりになるよう、ごく小さな爪のようなものがついています。お皿の縁が巻いていないのも気に入りました。縁が巻いてあると、洗ったあとの水がほんの少し残ることもあるので。下ごしらえ用には何枚かまとめ買いすることが多いけれど、これは手ごろな値段なのでうれしいですね」と話す城さん。

「むだのないデザインと質の高さは、日本製ならでは」

 このアルマイト小皿は荒物問屋「松野屋」の商品です。1945年に創業した「松野屋」は、商品に対して一貫したポリシーをもっています。選ぶのは大量生産品ではなく、美術工芸品でもない、人の手が生み出す日用品。長い年月をかけて、町工場や農村の職人の手から生み出されてきたものは、質がよくて手ごろな価格のものがたくさんあります。そんな日用品を探して国内各地やアジアに直接足を運び、時には生産者とともにオリジナル商品の開発をすることも。2010年には東京の下町、谷中に初めて小売店を開店。ちょっと懐かしいような素朴な日用品がそろっていると人気です。

「子どものおやつの時間に、ミニどら焼きなどをのせても」

 この小皿の素材、アルマイトは、アルミニウムの表面にアルマイト加工を施したもの。この加工はメッキのようにほかの金属を付着させる手法ではなく、アルミニウムそのものの表面を人工的に酸化させ、腐食を防ぐ技術です。大正時代、日本の研究者によって発明されました。アルミニウムの軽さはそのままに、より扱いやすい素材となったのです。昭和の時代には学校給食の食器として使われていたこともあり、今はそのレトロな雰囲気が人気の要素の一つにもなっています。

「調理中にスプーンやレードル、菜箸などを置くと便利」
   

「この小皿はとても軽いので、食材を入れたまま少し重ねてもOKです。下ごしらえのとき、作業スペースがいっぱいになったら、ぜひこの方法を! しょうがなどをすりおろすときの受け皿にしたり、ワインや冷たいお茶のボトルの下皿にも。酢、しょうゆ、ラー油などの調味料をまとめてのせて、食卓に出したりもします」
 バーベキューなど、アウトドアでも大活躍します。軽くてコンパクト、割れる心配もないので、小さな子どもがいても安心です。
「私は手芸をするとき、小さなビーズやボタンの仕分けにも使っています。途中で席を離れるときは、そのまま重ねられるので便利ですね」

「重ねるとびっくりするほどコンパクトになります」

撮影・竹内章雄/構成&文・海出正子

今回紹介した商品

下ごしらえに便利なアルマイト小皿
(3枚セット)

サイズ(約)
直径14cm・高さ2cm
価格
セットで2,640円(本体2,400円)
取り扱い
松野屋

同商品はこちらに掲載されています。

「きょうの料理ビギナーズ」
11月号

2023年10月20日発売