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実践!田舎力 小さくても経済が回る5つの方法|NHK出版新書(NS新書)|NHK出版<

実践!田舎力
小さくても経済が回る5つの方法
金丸弘美
リーマンショック、東日本大震災以降、どん底からの再生を模索する地方自治体。そんななか、地域特性を徹底的に調査し、生活者視点に立ち戻り、連携して新しい仕組みをつくりあげたところでは、経済と雇用が生まれ、誇りと笑顔を取り戻している。六次産業化、着地型観光、コンパクトシティ、再生可能エネルギーなど近年注目の戦略を中心に、持続可能なまちを自らつくりだすポイントを5つに整理して紹介する。

目次

第1章
「六次産業化」で付加価値づくり
第2章
ノウハウ継承で人材づくり
第3章
食のルーツを探るテキストづくり
第4章
交流・連携で互いを活かすまちづくり
第5章
環境政策で未来づくり
 

編集担当者より

 本書は、2009年8月の刊行以来、Amazon地域経済部門でほぼ1位をキープし続けている地域おこし本のロングセラー『田舎力――ヒト・夢・カネが集まる5つの法則』(生活人新書)の続編にあたります。
 地域の宝を掘り起こし、磨き発信することで経済と雇用を生み、誇りと笑顔を取り戻した事例から、地域活性化のキモを抽出・提示しようというねらいについては、前作とまったく同じです。
 今回取り上げた事例の特徴は、(1)カリスマ的リーダーではなく、ごく普通の人たちが主人公であること(2)長引くデフレ、東日本大震災を経て、「小さくてもとにかく始めること」「知恵と資本を持ち寄って連携すること」の重要性がより意識されるようになったこと(3)各地でノウハウを継承するための仕組みがより進化していること
などです。
 そして、前作の主な舞台は山間地の農村でしたが、今作では六次産業化を軸にした農山漁村の活性化と同じくらい、地方都市の中心市街地の再生も重要視しています。なぜなら、全国47都道府県、1,000を越える市町村を取材してきた金丸氏の目には、第一次産業の疲弊とシャッター街に象徴される市街地の衰退は、対で考えなくてはならない問題として映っているからです。
 私たちはつい「都会と田舎」を、「百万人都市と人口数百人の山間地や離島の集落」のような対極的な構造で考えがちですが、著者の取材に帯同させていただき現場を見るうちに、そうした問題の捉え方にあまり意味はないと思うようになりました。
 いうまでもなく、地方ブロック内にも玄関口的な都道府県とそうでないところがあり、県の中には県庁所在地とそのほかの市町村があり、その中に中心市街地と郊外があります。そもそも、グローバル化を論じるときには日本自体が辺境という話もあります。ウチとソトはマトリョーシカ人形のように、どこまでも入れ子構造になっている(余談ですが、佐々木俊尚さんの『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)の原稿を読みながら各地を回ったので、より「ウチとソト」のボーダレス化に敏感になっていたのかもしれません)。「都会」と「田舎」は対立的に捉えるのではなく、俯瞰的、水平的にみて、生かし合えるところをうまくつないでいけばいいのです。
 また、「つなぐ」とともに、「組み合わせる」「組み立てる」のもポイントだということもわかりました。地域特性を発掘し売り出すには、ものすごく特別な「ここだけにしかないもの」を持っていないとダメだと思われている方もあるかもしれませんが、「唯一無二のもの」なんて、データで証明することはできないし、する必要もない気がします。多くの場合、「当たりまえのものの組み合わせ」が特別な価値につながるのではないでしょうか。ただし、「当たりまえ」に存在するものだからこそ、人に説明するときには、思い入れだけで語るのではなく、客観的にしっかり調査しなくてはいけない。そのプロセスを具体的に実践する方法のひとつが、金丸さんが提唱する「テキスト化とワークショップ」です。本書では、どこでもどなたでもすぐにできるように、詳細にそのやりかたが解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
 日本中がリソース不足のいま、生き延びるにはノウハウを惜しみなく持ち寄って連携していくしかありません。現場の地道かつ継続的な実践はすべての出発点ですが、首長から地域グループのリーダーまで、さまざまな階層でブレなく共有できるビジョン、それぞれにとって使い勝手のいい仕組みがないと連携はうまくいかない。豊富な事例は、そんなことも教えてくれます。
 現地取材では、何度も「どうしてこんなことが実現できたのですか?」と訊ねたくなる場面に遭遇しました。意表を突かれたのは、あるまちで、「ぎゃくにあなたの住んでいる地域では普通のことじゃないんですか?」と訊き返されたこと。「どうしてやる前にあきらめていたのか」と問われたような気がしました。
 本書に登場するまちには、本当にカラフルな刺激と元気と未来があります。実践家たちが与えてくれる感動を、ぜひ金丸さんの臨場感あふれるレポートから追体験していただき、彼ら彼女らの智恵を、みなさんのまちづくりに活用していただければ幸いです。
(NHK出版 福田直子)

※本書で言及するすべての地域を書き込むことはできませんでしたが、主な紹介事例を地図に示しました。みなさんのゆかりの地があるかどうか、探してみてください。

本書で紹介する地域

著者プロフィール

金丸弘美(かなまる・ひろみ)

著者写真

1952年佐賀県唐津市生まれ。食環境ジャーナリスト、地域活性化アドバイザー。「食と環境からの地域再生」をテーマに、全国47都道府県、1000以上の地域を取材。総務省、農水省、内閣府など国の支援事業ほか、各自治体から直接招聘され、六次産業化や地域活性化事業のアドバイザーとして活躍中。著書に『田舎力――ヒト・夢・カネが集まる5つの法則』(NHK出版生活人新書)、『幸福な田舎のつくりかた』(学芸出版社)など多数。

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